強皮症患者、ご家族の皆さんへ。‐父の闘病生活‐お父さん、お疲れさま 入院19日目、朝4時。病院から父急変の電話あり。 家族、祖母、叔父叔母などへも電話。 30分後に病院到着。 ひとまずもちこたえているがいつ急変してもおかしくない状況と言われる。 医師からの説明。 現在、肺がとても硬いことが原因で肺の圧が高くなっているために、肺高血圧が悪化(通常1cm程度の血管が、4〜5cmまで拡張)し、肺の循環が行き渡らなくなっています。心臓はどうにかして肺に血液を送ろうと頑張っているために頻脈(150以上)になったり、不整脈を起こしたりしています。 肺へ血液を送り出す部屋は肺の圧が高すぎて血液を送り出せず、血液でパンパンに膨らんでいます。全身へ血液を送る部屋は肺から送られてくる血液がほとんどないためにペチャンコな状態になっているのがエコー検査で確認されています。 この中で、心肺停止した場合、心肺蘇生を行うかどうかについてだが、今の状況だと、心臓マッサージをした場合、最悪血液が溜まっている内臓が破裂して、かえって取り返しのつかないことになる可能性が高い状況です。 それでも心肺蘇生をするかどうか、家族で検討して、同意書に希望する事項と希望しない事項にチェックを入れて、看護師に渡してください。 家族は戸惑う。 できる限りの治療はして欲しい。でも、逆に父の体を無駄に傷つけて取り返しのできない状況になるかもしれない。 家族の意見は分かれる。 結果、「心臓マッサージはやらない」にチェックをつけるが、「これはあきらめたのではなく、それでもできることがあるなら、治療を続けて欲しいという意思表示」という注釈つきとした。 呼び出しから4時間後。兄弟たちの「頑張ってよ!」の声援に、父は頷いたり、手を握り返したりしている。 呼び出しから5時間後。「身内の方は入れるだけお入りください」と看護師に呼ばれる。 モニターの数字が、少しずつ減っていく。 心拍数0。医師が人工呼吸器を外そうとするが、兄がまもなく到着するからと、縁者が医師の行為を阻止する。30分くらいなら、という医師の好意で呼吸器をつけたまま兄を待つ。 兄の到着の後、死亡宣告される。 家族が皆揃ってから、医師からの死因説明が行われた。 私たちから父を奪った病気の名前は「強皮症」と「肺高血圧」。死亡原因は感染性肺炎という診断だった。 闘病中、あらゆる感染を疑われ、検査を繰り返してきたが、菌を確認できず。おそらく入院当初からいろんな可能性を考えて検査結果が出る前から治療を行っていたため、検査データに反映してこなかったのだろう、という説明も受けていた。 短い付き合いの中、主治医を始めとした治療チームの皆さんには想像もつかないストレスがあったと思いますが、根気強く丁寧に家族へ説明をしながら、精一杯治療してくださったことに感謝していますし、治療を受けていた父本人が心から信頼していたこと自体が、なにより皆さまが誇れることであると思います。 今後も医療の目覚しい発展を心から願うと同時に、そのような素晴らしい臨床家と治療を必要としている人達が1日も早く出会えるよう、祈っています。 (1)私の想い | (2)強皮症という診断 | (3)同意書にサイン |