父は「全身性強皮症」という病気が原因で、この世を去りました。 父は定年退職後は、趣味の道場を開いて近所の子どもたちを指導したり、孫の成長を楽しみにしたりしている健康で穏やかな、どこにでもいそうな父でした。けれども、思い返せば、3年ほど前から症状が出始めていたようです。症状としては、息切れ、疲労感。付き合いで飲めたお酒も飲めなくなりました。 この病気は特殊な病気のようで、病院で受診しても全く気づかれず、他の診断名での治療がなされ、症状がかなり進行してから、やっと「全身性強皮症」確定診断を受けました。 父が他界する1年前に受けた人間ドックの結果から、ある検査項目で再検査と精査を勧められ、指摘された通りに検査を受け始めました。 残念なことですが、父は「検査ばかりしてるけど何も変わらない。今もらっている薬だと、全然症状が治まらないのに、いつも同じ薬を出してくる」、「あげく手術するといっている」という怒を含んだことを言うようになり、数ヵ月後には知り合いの勧めもあって、病院を代えたようです。 ちなみに父は、知人の死を受けて、「手術をすると死ぬ」というイメージを持ってしまっている、昔堅気というか、手術を怖がるタイプの人でした。 この頃、家族は父がひとりで病院へ通い、検査を受けていることに対して安心していました。私たち周囲の者は、本人が症状をきちんと理解して受けていると信じていました。 しかし、後々、よくよく聞いてみると、父が言っていた「手術をすると言っている」という言葉は解釈の間違いだったようで、本当は内視鏡を入れて細胞を一部採ることを指していたようです。 このとき、病院からどのような説明を受けていたのか、家族は知る由もありませんでした。 |